弟矢 ―四神剣伝説―
『白虎』より、一寸六分『朱雀』は長い。
身長と同じく、手足の長さを考えても宗次朗のほうに分がある。
宗次朗は森を背に東から西に移動し……木が途切れた一瞬、刃を垂直にして乙矢に斬りかかった。
中天からわずかに西に傾いた太陽を利用したのだ。
遮られた日光が瞬時に乙矢の視界を奪う。
だが……。
――我が勇者よ。闇を恐れるな。
『白虎』が主に警告を発する。
猶予はない。
『白虎』を信じ、乙矢は即座に両眼を閉じた。
そのまま、ごく自然な動作で乙矢が『白虎』を持ち上げた時、陽光は見る間に、白刃に吸い込まれていったのだ。
瞬刻――峡谷に『白虎』と『朱雀』の刃音がこだました。宗次朗は、返す刀で乙矢の腕を狙うが、相手は両刃の剣。乙矢はそのまま腕を引き、半瞬早く、宗次朗の右腕を薄皮一枚残して切り裂いた!
身長と同じく、手足の長さを考えても宗次朗のほうに分がある。
宗次朗は森を背に東から西に移動し……木が途切れた一瞬、刃を垂直にして乙矢に斬りかかった。
中天からわずかに西に傾いた太陽を利用したのだ。
遮られた日光が瞬時に乙矢の視界を奪う。
だが……。
――我が勇者よ。闇を恐れるな。
『白虎』が主に警告を発する。
猶予はない。
『白虎』を信じ、乙矢は即座に両眼を閉じた。
そのまま、ごく自然な動作で乙矢が『白虎』を持ち上げた時、陽光は見る間に、白刃に吸い込まれていったのだ。
瞬刻――峡谷に『白虎』と『朱雀』の刃音がこだました。宗次朗は、返す刀で乙矢の腕を狙うが、相手は両刃の剣。乙矢はそのまま腕を引き、半瞬早く、宗次朗の右腕を薄皮一枚残して切り裂いた!