弟矢 ―四神剣伝説―
皆実家は後継もおらず、そのまま取り潰しとなった。領地はしばらく幕府の直轄地となるようだ。


喜多家は宗主と妻、長男の死亡が確認されている。

しかし、次男・己十郎(こじゅうろう)が神剣『玄武』と共に行方不明だった。姻戚となる宗主の義兄が家督を継ぎ、己十郎と神剣の探索にあたるとこととなった。


もちろん、遊馬家にも神剣『青龍ニの剣』の探索命令が出ている。

落ち着き次第、再び発つ事になるだろう。


そして爾志家は――取り潰しは免れ、改易にもならなかった。

だが、宗主となった乙矢は、領地も家禄も幕府に返上したのである。

乙矢が処罰されなかった理由は、奇しくも神剣にあった。


『白虎』『朱雀』『青龍一の剣』は、現在纏めて遊馬家の神殿に奉納されている。だが、『玄武』『青龍二の剣』の行方と共に、幕府は『鬼』の出現を懸念した。

その時に頼れるのは神剣に選ばれた勇者、乙矢のみ。


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