弟矢 ―四神剣伝説―
しかし、背後から斬りつけようとする敵に、彼の背中は無言の威嚇を見せていた。
最初に、乙矢を襲った時のように、彼は自在に気を操れるらしい。あれほど獰猛な殺気をぶつけられては、『あやかしの剣』の噂が脳裏をよぎり、敵軍は踏み込めずに躊躇している。傍目には愉快なほどだった。
「乙矢どの、先に宿場を出ましょう。弥太、離れるでないぞ」
ふと気付けば凪が真後ろに来ていた。
「凪先生っ」
後ろです! と弥太吉が叫ぶ前に、凪は背後の敵を斬り捨てた。障害物も軽く避けて走り抜ける様子は、どう見ても、本当に見えてないのか? と問いたくなる。
「乙矢殿! こちらです」
弓月に腕を掴まれ、乙矢も宿場の外に向かって走り出した。
その後に、凪と弥太吉が続く。
「正三、新蔵、急げっ! 長瀬っ!」
それは、全員が関を抜けた瞬間、門の外に目くらましの火を放つ合図だった。弓月の声に、三人とも身を翻したが……。
その時、突然、門が閉じられ三人は中に取り残された!
最初に、乙矢を襲った時のように、彼は自在に気を操れるらしい。あれほど獰猛な殺気をぶつけられては、『あやかしの剣』の噂が脳裏をよぎり、敵軍は踏み込めずに躊躇している。傍目には愉快なほどだった。
「乙矢どの、先に宿場を出ましょう。弥太、離れるでないぞ」
ふと気付けば凪が真後ろに来ていた。
「凪先生っ」
後ろです! と弥太吉が叫ぶ前に、凪は背後の敵を斬り捨てた。障害物も軽く避けて走り抜ける様子は、どう見ても、本当に見えてないのか? と問いたくなる。
「乙矢殿! こちらです」
弓月に腕を掴まれ、乙矢も宿場の外に向かって走り出した。
その後に、凪と弥太吉が続く。
「正三、新蔵、急げっ! 長瀬っ!」
それは、全員が関を抜けた瞬間、門の外に目くらましの火を放つ合図だった。弓月の声に、三人とも身を翻したが……。
その時、突然、門が閉じられ三人は中に取り残された!