そして彼女にキスをする
第八章
予備校からの帰り道。
いつもよりちょっとだけ早い時間。
あの顔は…。
急いで駆け寄る。
いや、何処だ。
何処…。
いた。
あれは絶対そうだ。
誰だ、あの男は。
「“海”!」
大声を出す。
回りの人が振り向く。
「“海”。」
「何処に行ってたんだよ。…この男誰だよ。」
「ご飯を奢ってくれて…。」
その男は
「もういいだろ。どっか行けよ。」
明らかに不機嫌そうに手を振る。
「“海”…。一緒に帰ろう。」
手を握り引っ張ると
「なんだよ。テメー一人で帰れよ。」
と手を離される。
肩を抱き、連れて行こうとするので
「“海”。」
腕を掴み引っ張る。
「さっきからテメーうぜぇんだよ。」
< 11 / 27 >

この作品をシェア

pagetop