そして彼女にキスをする
「“海”…。」
“海”が僕の傷に触れる。
柔らかく、壊れ物のように“海”に触れる。
頬に…肩に…。
そして僕らはひとつになる。
僕は初めての男ではないらしい。
“海”の瞳が僕を見つめる。
いつも感じていたあのガラスのような瞳じゃない。
深く、美しく澄んでいる。
いつもと違う声。
いつもと違う息づかい。
“海”…。
もう離さない。
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