そして彼女にキスをする
第六章
朝、目が覚めると“海”がいない。
テーブルを見ると
〝ありがとうございました〟
とメモがある。
“海”…。
部屋を飛びだす。
辺りを見回す。
何処だ。
駅か。
海か…。
海…。
初めて会った場所…。
居るだろうか…。



海は凪いでいた。
明るく照り返している。
小さい子供。
その親。
犬と散歩してる人。
走ってみる。
いない。
反対側は…いない。
何処に行ったんだ。
駅前、この間行っていた駅…。
何処にもいない。
“海”…どうして…。
昨日のことがそんなに嫌だったのか。
それとも、詮索されたとでも思ったのか…。
“海”…。
膝が崩れる。
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