こちらミクモ探偵事務所4
二人の脳裏に羽兎の笑顔が浮かぶ。
恵一は構わず話を続けた。
「それにさ、お前今すんごい必死な顔してる。
無自覚かもしれないけど、お前の中で羽兎さんの存在はかなり大きいものになってるんだよ」
いつになく真剣な恵一の目。
『――紘哉さんもいつか分かるよ。
本当に守りたいものができたとき、そして守りたいものがピンチに陥ったとき、人間が一番必死になるってね』
いつか、羽兎がそんなことを言っていた気がする。
やはり、無意識のうちに彼女の存在は紘哉の中で大きなモノになっていたのだろう。
紘哉は何も返さず、お茶を口に含んだ。