こちらミクモ探偵事務所4

呆れることしかできない。
恵一はアワアワしており、明らかに挙動不審だ。

「……ダメだコイツは」

独り言のように呟くと、紘哉は羽兎を抱き抱えた。
そして、下に落ちているホームズの様な帽子を足でつつく。

「ケイ、そこの帽子持ってきて」

「お、おう……」

彼は戸惑いながらも、サッと帽子を拾い上げた。

「羽兎さん……ホントにお姫様みたいだな」

「そんなこと言ってる場合か?」

ギロリと恵一を睨む。
恵一は首を横に振る。

「……帰るぞ」

石造りの牢獄のような部屋。
二人は羽兎を連れ、その部屋を後にした。

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