こちらミクモ探偵事務所4

階段を降りる。
羽兎はぐったりしたままだ。
早くしなければ手遅れになるかもしれない。

やっとの思いで外へ出た。
赤く染まった月が、紘哉達の真上に来ていた。

恵一が携帯電話を取り出し、震える手でボタンを押そうとしたその時。

「――ひーろやー!!」

どこからか彼を呼ぶ声がする。
二人は声のする方に顔を向けた。

「誰だ?」

暗闇に呼び掛けるも反応なし。
やがて、うっすらと人影が見えてきた。

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