こちらミクモ探偵事務所4

「それと、この帽子は俺が預かる」

そして、恵一の手元にあった羽兎の帽子を引き抜いた。
ますます戸惑う恵一。

「紘哉……どういうつもりだよ?まさか、死んだりとか……」

「そんなわけあるか。別に危険はない……と思う」

語尾がだんだん小さくなっていく紘哉。
恵一のタレ目が更に下がる。

「心配だから俺も行く!」

「お前は絶対に来るな。これは俺の問題だ」

「……?」

不思議そうな顔をする恵一。
紘哉はフッと微笑む。

「もう一人のお姫様を起こしに行く」

そして、彼は二人に背を向けた。
呼び止める声が聞こえてきたが、紘哉が振り向くことはなかった。

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