こちらミクモ探偵事務所4
少し呆れてしまう。
口を尖らせ、ブーブー言う彼女を見た紘哉は、クスッと笑った。
嫌みでも不敵でもない、純粋な笑みだ。
「紘哉さん……そんな顔できるんだね」
「お前は今まで俺を何だと思ってたんだよ」
「悪魔」
「あのなぁ……」
紘哉が反論しようとしたその時、事務所の電話が鳴った。
「依頼かな?」
期待を込め、楽しそうに笑う羽兎。
「そうだろうな」
小さくため息をつきながら、紘哉はデスクに置いてある黒い電話をとった。
「――はい、こちらミクモ探偵事務所です」
【完】