こちらミクモ探偵事務所4

「俺は嘘をつかない主義だ」

「そうなの?……ごめんなさい。今は手持ちがないの」

自分の部屋とはいえ、財布はもっと大事なところにしまってある。
私は両手をあげ、何も持っていないことを示した。

「ふうん……そうなんだ……」

男は徐々に歩みを進める。
後退りするものの、背中は壁にくっついている。

「な、何?」

少し怖い。
男は妖しく笑うと、手を壁につけた。

< 6 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop