☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】
聖真さんと亜由美さんを育ててくれた人だ。
きっと何かあって出て行ったんだと思うけど、家族を見捨てたっていうことではないと思う。
「絶対絶対、大丈夫です」
「珠莉ちゃんがそう言うと、本当にまたみんなでここに来れるような気がするよ」
そう言った聖真さんはいつもの笑顔でわたしも笑顔で返した。
「珠莉ちゃん………」
聖真さんは立ち止まり握っていた手を離した。
その瞬間、わたしは抱きしめられた。
「聖真さん、ちょっと………」
押しても離れない。
「ごめん、今だけ………
もう少しこのままでいさせて」
そう言われると、何も抵抗出来ない。
どうしよう………
「珠莉ちゃん………
俺やっぱり、珠莉ちゃんが好きだ」
抱きしめられながら、言われた言葉にドキリとした。
周りは静かで、あるのは波の音だけ。