☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】
「杉谷社長、お久しぶりです。
50周年、おめでとうございます」
「おお、これはこれは。
黒崎君ではないか。
今日は来てくれたんだね、ありがとう」
翡翠は普段見せない笑顔で挨拶をした。
こっちの翡翠より普段の翡翠の方がいい。
「そちらのお嬢さんは?」
うっ………
やっぱり聞かれるんだ。
「彼女は僕と付き合ってる女性です」
「嘉春珠莉です」
わたしは笑顔で名前を名乗り頭を下げた。
「へぇ……、この娘がねぇ。
君のことは結構有名だよ」
有名?
杉谷社長は続けて言った。
「どの社長が娘と婚約させようとしても動じなかった黒崎君をどこの馬の骨かわからない君が、手に入れたってね。
どうやって手に入れたんだ?
その身体で色仕掛けかい?」
わたし………
こんなふうに思われてるんだ………
しかも、これは完璧にわたしに対する厭味だ。