☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】
考え事をしていると、いつの間にかもう会社の中に入っていた。
え………
見られてる?
周りからの視線が痛い。
それもそのはず。
ただでさえ翡翠と一緒にいるのに、その上、お姫様抱っこされてる。
目立たないはずがない。
「翡翠………下ろして!」
「嫌だ。逃げられたら困る」
「そ、そんな…………!」
逃げるわけない。
そう言おうとしたけど、翡翠にジロリと見られて言えなくなった。
すぐに逸らされたけど、まっすぐわたしを見る瞳は、悲しみと怒りを混ぜたようなものだった。
翡翠………怒ってる………?
翡翠の雰囲気を感じ取り、何も言えなくなった。
結局、そのまま最上階まで行くはめになった。