☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】
「話はそれだけか?
なら、さっさと帰れ」
社長室には珠莉がいるはず。
そう思い、由香には廊下側の扉から出るように連れ伝え、俺は社長室への扉に向かいそれを開けた。
ガチャ――――
扉を開けて社長室を眺める。
いない………
だけど扉のすぐそばに誰かが踞っていることに気がついた。
「珠莉………?」
呼びかけると悲しみを含んだ瞳でこっちを見上げた。
「翡翠………ごめん、なさい」
珠莉は立ち上がって社長室から出て行こうと扉に向かった。
「珠莉、待て」
「っ!」
腕を掴むと、珠莉は震え出した。
まだ………無理か………
俺は腕を離した。
「ご、めん……なさ……い」
こんなに近くにいるのに………触れられない。