☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】
わたしは車の窓を開けて、残っている二人に言った。
「理恵さん、颯さん。
ごめんなさい」
囮役なんて………危ないのに…………
「大丈夫。
そんな心配することなんかないわよ。だからそんな顔しないで。
翡翠のところに行ったら、いいことがあるから。
珠莉ちゃんも気をつけてね?」
理恵さん…………
「ありがとうございます」
それを合図にしたかのように、車は発車した。
わたしは理恵さんたちが見えなくなるまで、見続けた。
「ねえ………理恵さんたち、大丈夫?」
「大丈夫だ」
「ほんと?」
「ああ」
「絶対?」
「絶対」
わたしは屋内駐車場を出てからずっとこの調子で熊谷に聞いていた。
「ほんと?」
「大丈夫だ。
もし、ばれても捕まったりしねぇよ。
あいつらの目的は、俺らなんだから」