☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】
トイレを目指して。
「珠莉?!」
「おい!ユリ!走るな!!」
もう吐くことしか考えられないわたしは、翡翠の声も熊谷の声も耳には入ってこなかった。
意外と近くにあったトイレに駆け込み、便器を抱え溜まっていたものを吐き出した。
「ウ…………ッオエ」
「大丈夫か?」
熊谷がいつものように背中をさすってくれる。
「ありがとう…………
もう、平気」
吐いたら少し楽になった。
口をティッシュで拭き、立ち上がり、吐いたものと一緒に流して、トイレの個室から出ようとした時、翡翠と目が合った。
翡翠は個室の近くにいた。
もしかして……………
「今の……………見た………?」
翡翠は静かに頷いた。