☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】
不思議な人だな。
「えっと、今日からよろしくお願いします!」
と、わたしは頭を下げた。
「そんなにかしこまらなくてもいいのに」
おじさんはそう言って、さあさあ、と中に入れてくれた。
裏口は玄関みたいで中も家だった。
「おじさんってここに住んでるの?」
案内されながら気になったことを聞いた。
「最近はここで寝泊まりをしてるけど………家はここじゃないよ。
ここから30分くらいの所に家はある」
「最近は家には戻ってないの?」
「ちょこちょこ戻ってるよ。
息子や孫の顔を見にね………」
そう言ったとき、フッと一瞬だけおじさんの顔が沈んだように見えた。
家で何かあったのかな…………
「荷物はここに置いて、お店の準備をしよう!」
「うん」
おじさんはさっきの素振りを見せずに明るく言った。