☆続☆恋する*spring〜春をうられたわたし〜 【完結】
でも、人のことだ。
誰にでも触れられたくない過去はある。
わたしにも昔の事は話したくないもん。
「珠莉?
ただいま」
後ろから抱きしめられてふわっと香るベリーの匂い。
「翡翠!お帰りなさい!」
わたしが上を向くと、翡翠もわたしを覗き込んで見ていて視線が合い、チュっとおでこにキスをされた。
いつも玄関まで迎えに行くのに……………考え事してて、気がつかなかった。
「ごめんね、気がつかなくて」
「いいよ。
それより、今日コーヒー飲んだのか?」
「どうして?」
飲んでないよ?
「珠莉からコーヒーの匂いがする」
その言葉にドキリとする。
カフェにいたから匂いが染み付いたんだ。
な、なんて言おう………
「ち、ちょっとコーヒー飲めるのか試してみたくて………」