after a dream
自分から、促すようなことを言ったクセに、
広がる違和感に、聞いてしまうのが怖くなる。
「認めるもなにも…」
躊躇いがちなはるの声に、耳を塞ぎたくなって。
だけど一音一句、逃してはいけない気がして、ゴクリと、出てもいない唾を飲み込んだ。
目が合ったはるは、
言いづらそうに、笑う。
「俺ら、血繋がってんだけど?」
「…… え?」
思わず後ずさると、
手が近くにあった鉄琴のマレットに触れて、涼やかな音が鳴った。
用無しになった楽器ばかりが、押し込められているこの場所で、透き通ったキレイな音に出会えるなんて、思ってもみなかった。
落ちてしまったマレットを、はるが拾い上げて、元あった場所へと戻す。
…その光景すらも、夢になってしまったのかと思うほどに。