after a dream
自分達が傷つけられたと思い込んで。
錯覚した傷に、刃を突き刺して抉って。
誰より傷つけてしまったのは、自分達ではなく、誰よりも大切な人達だった。
目を逸らさずに、向き合う勇気を持てていたら、守れた傷だったのに。
私達が弱かったせいで。
…もう、その弱さを見て見ぬフリし続けるのはやめなくちゃ。
2人のことなのに1人で勝手に抱え込んで、良いことなんて一つもなかったから。
消したい過去も後悔も、これからの未来でしか、救うことはできない。
「…どうしても、不安だったの。
はるはあの日、私のことそっちのけで中庭に走っていっちゃったし、お弁当もぐちゃぐちゃになっちゃうし。
旭日先生となにもないのはわかったけど…あんなに慌てて。
結局 "あの日" は、何をしてたの?」
お互いの呼吸すらも感じる距離で、真っ直ぐにみつめてくる茶色い瞳をみつめ返すと
「…お弁当?」
ぽかんとした、はるの顔。
「は、なに?ぐちゃぐちゃって何のこと…?」
私の肩を押して、2人の体を腕ひとつ分だけ引き離すと、困惑した様子で私をみた。