after a dream
「…え」
恐る恐る顔を出したそれは、
小さな正方形の赤い箱。
シルクに似た赤いリボンが巻かれてる。
…はるのポケットに入れられてたから、少しヨレヨレになってるけど。
私に近づいてくるそれに手のひらをみせると、待っていたように、その中へと降りてきた。
「…あけていいの?」
はるをみると、耳まで真っ赤だ。
「…ん」
照れ隠しなのか、また私の肩にあごをのせていて、かわいいと思うよりも、ドキドキした。
…まるで、付き合いたての頃みたいに。
はるの熱に包まれて。
右の首筋にかかる、はるの呼吸を感じて。
背中からは、不規則に脈打つはるの音まで伝わってくる。
するすると解けていく真っ赤なリボンに集まる、私の視線とはるの視線。
はるにみられているところが心臓になってしまったみたいに、ドクドクと揺れた。
「…これって」