after a dream
…インフィニティのデザインや意味を、はるが知っていたとは思えないけど。
そんなことはどうだってよくて。
ただ、泣きそうだ。
震える指でリングを手に取ると、
「かして」
後ろからまわってきたはるの手が重なって、奪われてしまう。
指輪を持っていない方の手で、私の左手を支えるように包むと、
待ちわびた指輪を、
丁寧に、薬指の奥まで連れていく。
そしてそれを安定する位置まで下すと、安心したように、私の左手と薬指をなでる。
「不安にさせてわるかったよ。
でも、どうしても今日、これを深詞にもらってほしかった」
…この温もりを、私はこの先、一生忘れることはないのだろうと思った。
本人の私でさえ、はるにこの指輪をもらうまで、誕生日が今日だということを忘れていた。
なのにはるは、1ヶ月前…もしかしたら、それ以上前から、私の誕生日に何をプレゼントしようか考えてくれてたんだ。
男の自分だけじゃ分からないところもあるからと、旭日先生に相談してまで。
…はるは本当にずっと、私のことを。私達のことを、真剣に考えてくれていた。
それを、私ときたら…
「…まぁそれで、深詞を探してたら、色々あったわけだけど」