after a dream
『けどそのお陰で、深詞に近づけた気がするわ』
そういって、私の頬に添えられた手に、自分の手を重ねた。
つけたばかりの薬指のあまい感覚。
私より少し体温の高いこの熱を、
愛おしく思う。
「…大事にする」
指輪もはるも。
全身に広がる、あたたかくて優しくて強い、この気持ちも。
あふれてくる想いとともにはるをみつめると、はるの中にいる私が、熱を纏う。
熱っぽい茶色い瞳に吸い寄せられるように、唇を重ねると、はるの想いまで伝わってくるような、やわらかくてあまい熱。
もう少ししっかりはるを感じたくて、一度唇を離して、みつめると、
そんな私に、はるはイタズラに笑って、
「なに、足りねーの?」
…わかりきった質問をする。
「はるもでしょ」
だってきっとこのキスは、今だからこそのキス。
大切なキスになるんだから。
ふっと笑ったはるにエスコートされながら向き合うと、はるがはにかむから、つられて私の顔もゆるんだ。
頬に熱が集まっていくのを感じていると、はるの胸板あたりにある私の左手を、そっと手にとるはる。
真新しい指輪をなぞると、
「正式なやつまでの予約だから、外すなよ」
そういって私をみるから、たまらず顔を覆った。