after a dream
「…ねぇ、はる?」
帰り道。手を繋ぐはるの左側で、赤とオレンジと太陽の光がまざった夕焼けをみて、想う。
はるが生きる世界に生まれてこれた幸せと、
同じ世界に、はるが生まれてきてくれた幸せ、
出会えたしあわせが、愛おしくてたまらないと。
「ん?」
数分前の私のままだったら、一生口に出せなかったかもしれない言葉も、今なら、何のつかえもなく言えるよ。
「…はるって私のこと、大好きだよね」
…怖がらずに。
たぶん昨日までの私達は、こういうシンプルなことを忘れていたんだ。
口にすれば、返ってくる表情だけでも、十分すぎるくらいにわかってしまうのに。
「深詞って、やっぱりバカだよな?」
コトバとは裏腹に、ゆるむ口元。目尻がさがる猫目。
ぎゅっと力が強くなる、繋いでいる大きな手。
歩くのを、止めた足。
「知らねーの?それ以上だよ」