あたしだけを愛して

屋上での出会い ◆芽衣side◆




誰にも会いたくなくて、
立ち入り禁止の屋上まで
来た。



呼吸が整ってくると、
涙が込み上げてきて
声を出して泣いた。



昔から我慢してきたことを
吐き出すように…―――





あたしに話しかけてくる人は
みんなあたしのお姉ちゃんが
目当てで、
あたしのことを
ちゃんと見てくれる友達は
いなかった。



家でもたった3つしか離れていないのに、いつもお姉ちゃんだけ特別扱い。



でも、お姉ちゃんはいつもあたしに優しくて
嫌いになんかなれなかった。



ずっと、あたしを見てくれる人がほしかったんだよ…



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