あたしだけを愛して
「ねえ、何であたしが思ってること分かるの??」
「何でって、顔に出てるから。」
本当は芽衣のことが気になっているからかもしれない。
「うそっ!!」
「ほんと。」
でも、顔に思ってることが
丸出しなのも本当。
これ以上言っても無駄だと
思ったのか、芽衣は落ちて
いた鞄を拾って扉に向かって
歩き始めた。
「帰んの??」
引き止めたら迷惑だよな。
「…うん。
……………さっきはありがと。」
そう言い残して、屋上から
出て行った。
顔を真っ赤にさせて上目遣いで言うなんて、
「…反則だろ、ばか芽衣」
俺はしばらく動けなかった。