あたしだけを愛して
「その頃の芽衣は、すっごく
かわいくてね~。
―もちろん、今も十分かわいいんだけど。
あたし芽衣がうらやましくて、芽衣みたいになりたくて、小学校に入ってからちょっとずつ
おしゃれに興味を持ち始めて。
だから、今モデルとして
仕事ができてるの。」
あたしの心に引っかかって
取れなかった靄[もや]が
晴れていく感じがした。
「それに、お母さんったら
あたしと一緒にいるときは
芽衣の話ばっかり。
あたしは仕事と学校の両立が
うまくいかなくて高校を中退
しちゃったから、
芽衣にはちゃんと高校を卒業
させてあげたいって。
ねえ、芽衣。
親に愛されていない子供は
一人もいないのよ??」