あたしだけを愛して
「え―!!今の話って本当??」
「芽衣ちゃんって、亜衣ちゃんの妹なんだあ~」
「いいなあ、うらやまし―!!」
さっきまで遠くにいた女の子達が
気づいたらあたしの周りに
集まっていた。
否定しようとしても、全然話を聞こうとしてくれない。
むしろ、どんどん話し始める。
こういう時は決まってこう言われるんだ
「ねえねえ、亜衣ちゃんのサインもらってきてくれない??」
…ほらきた。
人の名前が書いてある紙が
欲しいなんて、あたしには
理解できないよ。
頼まれる度にやってたら
キリがないじゃん。
「…最近お姉ちゃん忙しくて、なかなか会えないから。頼めたら言っておくね。」
忙しいのは本当だけど、会えない訳じゃない。
「あたし今日は用事があるから、ばいばい。」
鞄を掴んで、逃げるように教室から出た。