あたしだけを愛して



「…違うよ、荻原さん。

お姉ちゃんと比べられるの
は嫌だったけど、あたしが
逃げてただけなの。


だから、そんな顔しないで」



荻原さんの目から綺麗な涙が
流れる。





あたしは前に進めたから、

今までのことは受け止めて
許そうて、決めたから





「荻原さん、
あたしもあの時はごめんね。

教科書を拾ってくれたのに
お礼も言わないで帰って」



2人して謝ってるのが何だか
おかしくて、顔を見合わせて
笑った。



「…芽衣、“夏希”って
呼んでよ。


あたし達、友達じゃん」


「っ…夏希!!」



あたしのことをちゃんと
考えてくれる友達が
できたのが初めてで
涙が止まらなかった。



夏希、ありがとう…



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