あたしだけを愛して



学校につき、上履きに履き替えて重たい足を引きずりながら教室に行く。



――ガラッ

扉を開けて中に入ると
みんなの視線を感じた。


「あ、結城さん!!」

「ねえねえ、あの結城亜衣の妹なんでしょ??」



いきなりの質問攻めに
まあね、と流している
と一番聞きたくない言葉
を言われた。




「芽衣ちゃんってさあ、亜衣ちゃんに似てないよね~」


ズキ…

心臓を捕まれたような感覚に
陥った。

…やめて


「そういえば、姉妹なのに似てないね」


……やめて、やめて


「亜衣ちゃんはきれい系だけど、芽衣ちゃんは…」


………やめてよ!!



最後まで聞くのが耐えられなくなって、気づいたら教室と反対方向に走り出していた。



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