吐息が愛を教えてくれました
愛で満ちる宝箱
千早はキスなんて大したことでもないようにくすりと笑って、私をしばらく見つめたあと、言葉を続ける。
「っていうか、これ以上のこともするから。それに、いい加減、俺たちが両想いの幸せな恋人同士だって認めろ。
で、二度と逃げるなよ。この週末、実里が俺から離れてる理由も、居場所もわかっていてもつらかった。
早くこの腕に取り戻したかった」
「千早……両想い、なの?」
「決まってるだろ。あー、ほんとにお前、ばかだろ。
俺だって、自分の大切な人生を、謝罪だけに費やすわけないだろ?そりゃ、あの事故のせいで実里が大けがをして、左耳が聞こえなくなったけど、それでも、好きじゃなきゃ恋人になんてならない。
事故に対して誠意は尽くしただろうけど、自分の人生を引き換えにするわけがない。
心から実里が欲しいって思うから、ずっと側にいたんだ」
「えっと……じゃあ、千早はわたしのことが好きってことで、いいんでしょうか?心から……」
しどろもどろになりつつ、恐々と確認する。
そんな私に大きく息を吐いた千早は、呆れたように天井を見上げた。
「何度でも言うけど、心から愛してる。
信じられないなら、好きって言葉に何倍もの飾り付けをして言ってやる。
惚れて惚れてどうしようもない。
実里のいない人生は俺にとっては生きている価値のないものなんだ。
だから、俺と結婚して一生側にいろ」