吐息が愛を教えてくれました
「千早のことが好きだから、たとえ千早が私を愛してなくても一緒にいられるだけでいいって思ってたけど、合コンに行ったり、私以外の女の子と一緒にいるのを見るとつらくて逃げ出したくて……」
「で、こないだはとうとう逃げたんだよな?不眠不休の一週間を送ってずたぼろの俺を放り出して逃げた」
「あ、あれは……」
「あれは?」
「えっと……ごめん、逃げたの。もう千早から逃げて楽になりたかったから」
「だよな。そんな事されて、おれがどれだけ傷つくのかなんて、盲目的恋愛まっしぐらの実里さんには想像もできなかったんだよな」
こつん。
額をでこピンされて、そっと視線を上げる。
そこには、どこか苦しげで、そしてどこか泣きそうな顔。
「俺の気持ちを誤解してるって、わかっていて、ちゃんと説明しなかった俺も悪かった。
だけど俺だって、いつ実里がその苦しさに耐えきれなくて俺のことを捨てるのかってびくびくしてたんだ。
だから、この二日間のような思いは二度と味わいたくない。これからは、俺を捨てるな、そして逃げるな」