吐息が愛を教えてくれました
時には涙し、時には甘い物をたくさん食べて気持ちを紛らわせながらの週末は、千早を解放しなければいけないという重荷を下ろすための必要な時間だったのかもしれない。
私と千早の関係を全て知っている音々ちゃんは、千早とちゃんと話をしなさいと言ってくれ、家にも帰るよう背中を押してくれたけれど、私は直接千早と会うことが不安で、最初は拒んでいた。
私を大切に、そして、私の幸せをいつも考えながら寄り添ってくれた千早に、「さよなら」と顔を見ながら言えるかどうか。
自信がなかった。
千早が私の側にいてくれるのは、高校時代に起きた悲しい出来事への贖罪の気持ちが大きいのかもしれないけれど、私は単純に千早を愛しているから、側にいた。
大好きで、愛しくて、他の何よりも大事な存在。
けれど、千早にとっては、そんな私の気持ちを見せられれば見せられるだけ、苦しい思いを背負うことになったに違いなくて。
それでもそんな気持ちを顔にも出さず、私に優しさを与えてくれた千早には感謝しかない。
今日、大学で千早と一緒にいたかわいい女の子と特別な何かがあるとは思わない。
私を裏切るようなこと、千早がするなんて思わない。
きっと、彼女が一方的に千早に思いを寄せているだけだと思う。
だけど、千早が無意識だったにしても、彼女が千早の腕に置いた手を振り払わず、そのままにしておいたのは、私へのメッセージがあったのかもしれない。
私以外の女の子との時間を楽しめるほど、千早は過去から解放されつつあるのかもしれない。
そう。私という重荷からの解放。
これまで女性の影などなかった千早の側にいた彼女の姿を見たことががきっかけで、千早は私から解放されたがっていると、改めて実感した。