アイドルな王子様
「そっかあ。大変だね!」

「はい。じゃお先に」

「あっちょっと待ってよ!」


 駆け足しようとした私を呼び止める。

 なによ、急いでんだってば!!


「つきこちゃんって呼んでもいいかな?」


 はあ?


「ついでに、今晩食事でもどう?」


 なんで アンタなんかと!

 私のタイプはショウですから!

 私がきっぱり、でも遠回りにお断りしようと大きく口を開きかけたその時。


「翠川さん」


 今、最も会いたくなかった人の声がした。





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