アイドルな王子様
 振り向くとそこには、顔の皮膚が1cmは厚くなってんじゃないの?ってくらいにきっちり隙なく厚化粧したパートのオネエサン?が腕を組んで立っていた。


 出た!! 野村 佳代!!

 最近、徒党を組んで何かと私をいびり倒してくれている、パートの皆さんのリーダーだ。


「お、おはようございます…」


 今朝は何からいびられるのかと怯えつつ、消え入りそうな声で取り敢えずご挨拶する。


「金沢さん、おはようございます」


 私は無視ですか?


「翠川さん、今日の着荷は大量ですよ。急ぎましょう」

「はっはい!」

「では、金沢さん。失礼致します」


 野村さんは金沢さんに見えないようにして私の背中を拳で小突いて、早く行くように促す。

 そして、ブティックに入るなり冷たく言い放った。


「朝から金沢さんにお愛想振り撒くなんて、厚かましい女! 出来損ないの癖に男漁りだけは達者なのねえ。分をわきまえるってことを知らないバカって救いようがないわ!」




 これだよ…。





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