アイドルな王子様
「…それは反則だろ…」
 

 溜め息交じりにそう呟きながらも、彼は私の肩を引き寄せて、私が泣き止むまで頭を撫でていてくれた。


 大学入学を契機に上京して一人暮らしを始め、社会人になってイジメられて。

 人の温かさってものとは無縁の生活だったから。


 いいひとってほんとにいるんだなあ…。




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