アイドルな王子様
 レンタカーを借りて、一先ず島を一周する。

 30分もあれば一周してしまえる小さな島だけれど、ビルの林立する都会の谷間でひっそりと息をしていた私には、なにもかもが新鮮に映る。

 緑は濃く瑞々しく、海は気が遠くなるほどに碧く輝いている。

 蛍光灯の明かりしか知らない肌は、お日さまの柔らかな光を浴びてほんのり火照ってむず痒い。

 数年の間に、すっかり軟弱になってしまったなあ。




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