アイドルな王子様
「ちょっと降りてみない?」
「うん!」
車を降りると、磯の香りを含んだ強い風が容赦なく吹きつけ、私の白いチュニックが舞い上がる。
慌てて裾を抑えたけど、お腹見えてないよね?
「い、いやぁもおっ強いですね、風」
「ん。それにやっぱり東京と比べると寒いね」
「はい。私なんて冷え性だから七分袖ですよ。カーディガンも携帯して…盗まれちゃったけど」
「あ、欲しい? 買う?」
「いっ、要りません! 稚内へ戻ったら着替えありますし」
「そっか」
そう云って、彼は器用に岩場を渡りながら海辺に近寄って行った。
彼のすらりとした後ろ姿に思わず見惚れる。
束ねた髪の下から覗く、うなじが妙に色っぽいって思うのは可笑しい?
第一印象はコキタナイお兄さんだったけど、今では頼り甲斐のあるちょっと気になるお兄さん、になっちゃってる。
よーく見ると美形だし。
何故だかイロケも感じちゃって。
やばい、私。
彼に惹かれてる?
セレブな運命の恋人を捜す旅の筈なのに…。
出逢い、惹かれたのは28歳のフリーターでした、なんて。
そんなの、洒落にもならなくない?
.
「うん!」
車を降りると、磯の香りを含んだ強い風が容赦なく吹きつけ、私の白いチュニックが舞い上がる。
慌てて裾を抑えたけど、お腹見えてないよね?
「い、いやぁもおっ強いですね、風」
「ん。それにやっぱり東京と比べると寒いね」
「はい。私なんて冷え性だから七分袖ですよ。カーディガンも携帯して…盗まれちゃったけど」
「あ、欲しい? 買う?」
「いっ、要りません! 稚内へ戻ったら着替えありますし」
「そっか」
そう云って、彼は器用に岩場を渡りながら海辺に近寄って行った。
彼のすらりとした後ろ姿に思わず見惚れる。
束ねた髪の下から覗く、うなじが妙に色っぽいって思うのは可笑しい?
第一印象はコキタナイお兄さんだったけど、今では頼り甲斐のあるちょっと気になるお兄さん、になっちゃってる。
よーく見ると美形だし。
何故だかイロケも感じちゃって。
やばい、私。
彼に惹かれてる?
セレブな運命の恋人を捜す旅の筈なのに…。
出逢い、惹かれたのは28歳のフリーターでした、なんて。
そんなの、洒落にもならなくない?
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