アイドルな王子様
 彼が右手の傷と引き換えに得たのは、焦げ茶色のころんとしたまるい物体。

 いきなり陸に揚げられたせいか、棘がうにうに動いている。

 …うにうに動くからウニなのかしら。



「さて」


 聖夜さんは辺りを見回して、掌ほどの石を拾ってきた。


「どうするの、これ?」

「こうするの」


 がんっ。


 拾ってきた石を振りかざし、彼は躊躇うことなくウニに叩きつけた。





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