アイドルな王子様
「どしたの? ウニに飽きた?」


 訝しげに、彼は私の眼を覗き込む。

 きゃ いやだ、恥ずかしいっ!

 聖夜さんのエキゾチックな大きな瞳に見つめられると、もういてもたってもいられなくなる。

 どきどきしちゃう。

 そう云えば、昨日は彼の腕のなかで長いこと泣いてしまったんだった。

 急に、その引き締まった身体や、優しい腕を意識してしまう。

 もう…私ったらどうしちゃったんだろう。

 きっと、今、顔、真っ赤だわ…。


「気分悪くなった? 今度は車酔いかな?」


 心配そうな表情で腰を屈め、聖夜さんはその大きな手でそっと私の両頬を包んだ。


 うっきゃああぁっっ!


「だっ、大丈夫ですっ! あんまり聖夜さんがワイルドで…じゃなくて、キレイ過ぎて思わず見惚れちゃって…あっいや、そう、あのウニウニにっ」

「……はあ?」



 もお、私のバカぁ…。

 聖夜さんに触れられている頬は益々熱くなり、いっそこのまま溶けて消えてしまえたらいいのに、と思った。 


 余りに恥ずかしすぎて。

 余りに、胸がどきどきして苦しすぎて。






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