アイドルな王子様
「まあ取り敢えず、体調悪くないんなら食べてみなよ?」

「はいっ、いっいただきまっす」


 …我ながら動揺しまくりて、情けない声色だった。

 そんな私の狼狽は気にも止めず、聖夜さんは掌のウニをそっと摘んだ。


「はい、あーん」


 はい? あーん?


「ほら早く早く落っこちるって」

「はっはい あーん…」


 聖夜さんの細くて骨ばった指が、私の口唇を掠めていく。


 ほんのり甘い。


 これはウニの甘さ?


 それとも、彼の甘さなの?






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