アイドルな王子様
 海水でさっと洗ったウニは、確かに極上の美味しさで。

 きっと、私は一生忘れない。


 最悪だったけど、最高だった初めての船旅。



 彼に貰った甘い想い出。





 その後、午後のフェリーで私たちは稚内へと戻った。


 案の定、私はトイレの住人で、海上の景色なんか少しも拝めなかったけれど。

 往路では独りだった私も、復路ではトイレの扉の外に頼もしい彼が待ってくれている。


 ちょっと とほほな出逢いだったけれど、私は自分の三半規管の弱さに感謝しちゃってる。




 運命の出逢いって、こんな感じなのかな?って。


 彼が運命の彼なら、それってとっても素敵!って。




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