アイドルな王子様
 わざわざ東京から持参していたお気に入りのバスキューブをお湯に溶かし、ゆっくりとバスタブに浸かって物思いな耽る。


 想うことは勿論、聖夜さんのこと。


 私のなかは、指の先まで彼のことでいっぱいだった。



 オトコは甲斐性!なんて思っていたから、「セレブ」な「美形」の王子様を捜す旅だったのに。

 実際旅に出てみたら、私の心を占めるのは、「美形」だけど「セレブ」とは程遠い、「ちょっとヨレヨレ」なフリーターの彼。


 現実なんてこんなもの?


 でもね、肝心の聖夜さんは私のことを、きっと世話の焼けるお荷物くらいにしか思っていないでしょうね。


 だから、ここで一発。

 お洒落して、少し私をアピールしてみようと思うのは、オンナの性ってヤツかしら?





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