アイドルな王子様
「それより、この先の日程どうする?」

「え…う~ん。聖夜さんは?」

「俺ねえ。正直、いつもこっちに来たら行き当たりばったりだから、何も考えてないよ。仕事が入ったら戻らなきゃならないんだけど」

「そうなんだ。私…は聖夜さんに合わせるよ?」

 だって、もう少しあなたと一緒にいたいから。

 東京に帰っちゃったらもう会うことはないかも知れないでしょう?


「じゃあ、明日は稚内観光でもする?」

「うん! したいっ!」

「決まり。さぁて何処いこっかね」

「私、北海道まるごと初めてだから、何処でも嬉しいよ」


 聖夜さんと一緒なら。

 例え、海の上に放り出されたってシアワセかも知れない、なんて。


 ああ これが24歳のオンナの思考回路かしら?


 こんなことなら、もっと恋愛偏差値、高くしておけばよかったな。

 経験がなさすぎて、素敵なひとを目の前にしてもどうしたらいいのか判らない。


 聖夜さんには、私はどう映ってる?

 子供っぽい、ドジなオンナ?

 恋愛の対象として見てくれているかしら?



 そんなことを考えながら、私は少しでも可愛く見せようと一生懸命に巻いてきた髪をくるくると弄っていた。





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