アイドルな王子様
しまった、話を振りすぎた。

 実は私、彼氏はいたことは勿論あるけど、深いお付き合いをしたことは...恥ずかしながら、ない。

 ううっ、女の魅力に欠けてる奴だって思われちゃうかなあ?

 だって、心底好きになれる人ってなかなかいないんだもの。

 本当には好きになれない人とえっちしちゃうのって、なんだか気持ち悪いような気がして…。


「…彼氏ぐらいはいたことあるよ?」

「ふぅん。…今は?」

「…いない。彼氏いたらお見合いなんてさせられないよお」

「そっか、悪い悪い」

「私、本当に好きになった人とでなくちゃ…イヤ。だから、運命の人を捜す為の旅に出ようって…」

「はっ!?」

「やっやっぱりおかしい?」

「じゃなくて。っていうか、東京のが出逢いがあるんじゃ…」

「やっぱりぃぃ。私もこっちに来て、やっちゃったと思ったのお。絶対的人口が少ないんだもん。ただ夏だからってだけで、涼しいとこにきちゃった」

「そして置き引きにあってか」

「ドジだよね…」

「いや…なかなかレアな体験だよな」

「…そもそも幸先が良くなかったのかも」

「幸先?」


 そう、私、少しヤケになっていたかも知れない。今思い返すと。



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