シルク
初恋
出会いは本当普通の出会い。同じ小学校。同じ中学。自然に恋に落ち、自然に愛しあった。 傷付く事も傷付ける事も怖くなかった頃、二人は初めて愛を知った。
『絹子ー。何個まで書けた?ウチやっと500まで書いたよー。』友達の彩(さい)が朝からベタベタ近寄って来た。

『ついに1000。』疲れきった顔を、わざと作って見せた。

『なんの話してるんだ?大好きな僕の事話してたのかな?シルー。』
甘えた声で話に割り込んで来た達也は私の事を唯一、シルクと呼んでくれる。 『今絹子と二人でおまじないしてるの。緑のペンで好きな人の名前を1000回書くと両想いになるってやつ。』
『俺達付き合ってるのにシルは関係ないだろぅ。なぁー?』
『…。』 朝から陽気な達也に何も言えずに 席につく。
(どうしよう。どうしよう。助けて。助けて。)心が叫んでいても時間だけが過ぎてゆくのがさらに私を孤独にする。
−−−−
『セックスをすれば妊娠する。』そんな事は小さな時から知っていたし、ママにはコンドームの付け方まで教えてもらった。
愛しあっていたら当然の行為だと、どんな方法よりも簡単にわかりあえる行為だと。

『シルーどうしたんでちゅか?ご機嫌ななめですねぇ?』隣の席の達也が機嫌を伺うようにいつものおちゃらけで下からのぞきこまれて 一時間目の授業が終わった事にきずいた。
『妊娠したから。』
『ええ?』
『だから妊娠したの。』 達也が徐々に落ち込んでゆくのをみていたら、二人が分けあった愛さえも信じられなくなってゆく。

−−−−−−−
二人はいつも一緒に帰っていた。

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