繋がれた糸 (短編)
約束の時間は19時。
あれだけ重かった体が嘘のように
残っていた仕事は綺麗に片付いた。
そして今、あたしは
いつもの場所にいる。
会社から少し離れた所にある
噴水広場。
ここから見る空が、あたしは好き。
空を見上げていると
後ろから近づいてくる足音。
不思議……
足音だけで、誰だか分かるよ。
静かに忍びよってくる足音が
ピタッと止まると
フワッと温かい体温に包み込まれた。
「……亮輔」