繋がれた糸 (短編)
いつものレストランで食事を済ませ
そして、ホテルへと向かった。
それが、いつものあたし達。
「今日星が沢山なの、気づいた?」
「ああ。明日も天気いいんだろな」
部屋に入るとすぐに抱き合うわけでもなく、窓から空を眺める。
あたしは、空が好きで
いつも亮輔は話を聞いてくれる。
そういう所も好き。
あたしの存在を確かめるように
後ろから抱き締めてくる強い力。
首にかかる亮輔の息で
全身がゾクゾクする。
「実沙季」
小さい声。
今にも消えそうで切なくなる。
「亮輔も空好きだよね」
「お前が好きだから、オレも好きになったんだろ」
そうだよね。
あたしも、亮輔が好きだから
自分が好きになった事の方が多い。
あたし達は、お互いの事を
誰よりも分かってる。